──日本のなかでグローバル人材を求めている業界・業種は。
【ロバート・ウォルターズ】すべての分野と考えていい。特に、医療・ヘルスケア、それからIT・テクノロジー、製造業、サプライチェーン、流通などの動きが活発だ。ファイナンスは元気がないが、コンプライアンスや会計監査といったところのニーズは強い。
当社が日本市場に参入したころは、投資銀行への人材紹介がビジネスの中心だった。堅調に推移してきたが、08年のリーマン・ショックで暗転してしまう。それ以降、当社は様々な業種・業態にもさらに力を入れていった。
と同時に、外資系企業だけでなく、日系グローバル企業の海外進出もサポートするようになった。日本では、大手やベンチャー企業を中心に、海外進出やM&Aなどによって、一気にグローバル化が進んだ。そのことにより、日本の企業自身が世界に通用する人材を求めなければならないケースが増えてきたためだ。
──日本のビジネスマンの長所と短所をどう見ているか。
【ロバート・ウォルターズ】私は来日後、いろいろな経験を通じて感じたことがある。それはホテルに行っても、飛行機に乗っても、日本人の仕事に対する倫理観が、きわめて高いということだ。ほかの国を見ても、これだけの美点を持っているところはないだろう。
問題点があるとすれば、フレキシビリティ、つまり柔軟性に欠けること。かつての日本には、日本的経営の象徴である雇用慣習として終身雇用と年功序列が生きていた。社会のピラミッドを大過なく上っていくことが、理想的なビジネスマン人生だとされていたなごりだろう。現在、そうした慣習は徐々に薄れてはいるが、他の国に比べて依然、柔軟性に欠けている。
もうひとつは実務的なレベルでの語学力だ。ビジネスの現場で英語を話せる人たちが圧倒的に少ない。