「業界の混乱を何とかしたい!」協会設立の意味
【三宅義和・イーオン社長】これまでにも、何度か英会話ブームがあったと思います。あるときはサロン風英会話といったものが一世を風靡したり、ある時期は少人数の英会話が人気を博しました。現在では、自宅でインターネット電話のスカイプやiPhoneを利用して手軽に英会話を学ぶこともできます。それなりに便利なのでしょうが、残念ながら突然閉鎖されてしまうところもありました。
そうした状況下で語学スクール業界の健全化のために、全国外国語教育振興協会(全外協)が果たしてきた役割は、非常に大きいと考えています。そこで、今回は事務局長の桜林正巳さんに「安心して学ぶ」というテーマで話を伺いたいと思います。1991年9月に任意団体として全外協が誕生しました。当時、なぜこの団体が設立されたのでしょうか。
【桜林正巳・全外協事務局長】私自身もその段階では、まだ松下電器産業(現パナソニック)にいまして、詳しくは知らないんですが、その頃の話を聞きますと、1980年代、90年代は日本全体が右肩上がりで、英会話について言えば、海外留学や転勤などで、英会話熱がすごく盛り上がったと聞いています。それだけに英会話教室もたくさんできました。
ところが、経営力に問題があって倒産する学校が出始めました。すると、授業料は戻らない。その頃はまだ特定商取引法(特商法)など法律が整備されていませんでしたから受講者は救われないばかりか、業界全体に対する社会の不信感が募り始めました。
【三宅】そういう話もよくありましたね。
【桜林】受講者のニーズにあったサービスが受けられずトラブルが絶えない。受講生にすれば「自分の求めるレベルまで達しない。実力がつかない。どうしてくれるんだ」ということになります。
そんな状況を調査するために文部省(現文部科学省)の担当官が88年から89年、英会話学校の代表者を呼んで、自主規制団体の設置を求めました。何らかの基準を作って、業界の健全化、啓蒙活動をしてほしいということだったんです。同時に、倫理規程も設けるといった作業をしたそうです。最初に呼ばれたのは、7、8社。そのメンバーで3年かけて準備作業をし、91年に任意団体としてスタートしました。
【三宅】語学学校は全国にたくさんありますけれども、現在の加盟校はいくつですか?
【桜林】76校です。だいたい全体のシェアとしては20%です。生徒数、売り上げ、いずれも約20%。あとはもう玉石混交ですから、全体を掴みきれていません。