講師育成、研修プログラムの中身とは

【三宅】全外協の取り組みの中で、いくつかお聞きします。加盟校の教師の養成、教師研修プログラムがありますが、どのようなものなのでしょうか。

【桜林】ローカルの小さな教室が、新人の講師を雇うと、OJTで教育しなければなりません。イーオンさんのような会社なら、1週間、2週間と集合研修もできるでしょう。ところが、小さいところはなかなか手が回らないのが現状です。「何とか全外協で、そういった研修センターのようなものを作ってもらえないか」という要望が多くあったわけです。あるいは「DVDを制作して配布してほしい」といったニーズは、10年以上前からありました。

ところが、制作にはそれなりのコストがかかります。今回、一般社団法人に移行するにあたって、基本財産の一部を使って、2014年の暮れに教師研修プログラムを作りました。現在ネット上にアップして、加盟校に提供しています。

【三宅】外国語講師トレーニングセンターはどんな位置づけでしょうか?

【桜林】これも、自社でできるところはいいんですが、手が回らない教室は、全外協の動画配信によるトレーニングセンターのカリキュラムを見ていただくようにしました。そして、きちんとテストを受けてもらい、修了証を発行しているわけです。このシステムは、うちの財産として、今後も続けていこうと思っています。さらに、来年にはそれをDVDに編集して配布しようと考えています。

【三宅】2006年から毎年4月の第2日曜日を「文法の日」として、全国の各スクールでさまざまなイベントが開催されて、もう今年で10周年ですね。英会話のスクールの集まりで、文法をやるというと、ちょっと違和感があるかもしれませんが定着しました。

【桜林】英語学校の方針には2つの流れがありました。聴く・話すだけでいいというグループと、それだけでなく読む・書くということが必要だと言う人たち。全外協としては、どちらがいいとは言えませんから、4技能の力を平均的に養えるのがベターという立場を取りました。

そのときに北海道帯広市で「ジョイ・イングリッシュ・アカデミー」を主宰する浦島久先生が、そのベースにあるのは文法だと。「文法を知っていると、この4技能が速く正確に身につく」と提唱されました。それがきっかけで始まったわけです。そのときは、3社か、4社で、何十人ほどの参加でしたが、今年、10年目で延べ3000人以上の生徒さんが参加しています。最近は英語だけでなくアジアやヨーロッパの言語でもセミナーや授業が開催されており、おかげさまで10年経って、本当に理解されてきましたから、来年、再来年と、まだまだこれは続くと思いますね。

(構成=岡村繁雄 撮影=澁谷高晴)
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