協会加盟校で1万人受講生の受け入れ

【三宅】これまでも学校の閉鎖というのがありますけど、07年10月に当時の業界最大手のあるスクールが突然に閉鎖され、社会的に大きな関心を呼びました。ニュースに取り上げられ、全外協にも取材が殺到したそうですね。

【桜林】私も、まだ着任してから2年目ぐらいでした。しかし、本当に大変だったのは、その後始末でした。文部科学省と経済産業省、厚生労働省の課長の連名で「倒産したあるスクールの生徒を救済してくれ」という文書が協会にきたわけです。

三宅義和・イーオン社長。

【三宅】それは極めて異例ですね。

【桜林】そこで全加盟校に「霞ヶ関から依頼が来ているので、救済に力を貸してほしい」と通達を出しました。

【三宅】それでかなりの人数を協会加盟の語学学校で受け入れることができました。

【桜林】最初、1万人を引き受けたんですよ。それも協会で把握しているだけで1万人ですから、把握しきれない方を含めますと、1万数千人の生徒さんは救済できたんじゃないかなと思います。

【三宅】そういった経験を踏まえて、英会話スクール選びの基準というのは、どうあるべきだと考えますか。

【桜林】よく消費者センターとか、生徒さん自身からも問い合わせをもらいますが、やはりよく比較することです。最低3校は回って、研究すること。それよりまずは目的、何のために英語を習うのかをしっかりと考える。例えば、TOEICのスコアを上げたいのか、留学するためか、就職のためか……。目的をハッキリさせることです。目的がハッキリすれば、学校選びができます。それから通いやすい学校を選ぶことでしょうね。

【三宅】生徒さんもいろんなタイプがいますから、グループで習うのが向いている人、1対1が向いている人、集中してやるのが向いている人、長く続けたい人。目的もいろいろですから、こうじゃないといけないというふうに決める必要なく、いろいろな形の学習方法があるように、いろんな形の語学学校があればいいと思うんです。

【桜林】そういう点ではうちの加盟校はバラエティに富んで、いろんなスタイルがありますので十分に対応できます。

【三宅】外国人講師だけの学校もありますし、外国人と日本人の教師がいる学校もありますし。全国展開で教室を多く持っている学校もあれば、全国的には有名ではないけれども、各地方でしっかりと地域に根を張って、素晴らしい運営をされている学校もあります。そういった加盟校が全外協の会合で集まって、情報交換をし、勉強会をしている。これはこの業界団体としてのいい面です。

【桜林】全外協の存在価値はそういうところにあります。お互いにいろいろ切磋琢磨しながら、勉強もするということ。特に地方の小さな教室というのは、しっかりしているんです。地に足がついて、評判が口コミで広がっていく。それで経営的にもうまくいっているんです。