危ない! トランス脂肪酸を摂り過ぎると……

さて、トランス脂肪酸を摂り過ぎるとどうなるのか(適正な摂取量は「ウォッチ3」参照)。

まず、動脈硬化のリスク要因ともなるLDL(悪玉)コレステロールが増えるといわれています。また、トランス脂肪酸は、血中の余分なLDLコレステロールを回収して心臓病のリスクを下げるのに役立つHDL(善玉)コレステロールを減らしてしまう作用があるといわれ、ガンや糖尿病、アレルギーとの関係も疑われています(アメリカと台湾の政府はトランス脂肪酸量の商品への表示義務化に乗り出しています)。

もし、ケーキなど洋菓子類などを選ぶ時にトランス脂肪酸量が気になる人は、商品のラベル表示にある原材料をチェックすると良いでしょう(図1)。

「裏書き」を見れば、すぐわかる! 
例えば、ある食パンの包装ラベルには、ショートニングの記載が。市販ケーキのそれには、ホイップクリームなどが記載されていることは少なくない。

原材料名には、使っている食材全てが重量の多い順に並んでいます。「ホイップクリーム」や「マーガリン」「ショートニング」の記載があれば、基本的にその商品にはトランス脂肪酸が含まれているはずです。

今の時期、おそらく多くの人々がクリスマスケーキを食べ、トランス脂肪酸を摂り過ぎるかもしれません。しかし、1日ぐらい摂り過ぎたからといっても気にすることはありません。洋菓子類などは心豊かに過ごせる時間を演出する“食生活の楽しみ”でもあるのです。“楽しみ”は楽しみとして意識しつつ、摂り過ぎた時には1週間ぐらいを目安に、どこかで挽回すれば良いでしょう。

ウォッチ(2) トランス脂肪酸、牛肉「あり」鶏肉「なし」

冒頭の男性グループが選んだ料理は、骨付き鶏もも肉のグリルです。“男子会”では、クリスマスケーキでトランス脂肪酸を摂り過ぎてしまうかもしれませんが、メイン料理を鶏肉にしたのはとても賢い選択です。

鶏肉には、トランス脂肪酸は含まれていないからです。

牛や羊などの反すう動物(エサを口で咀しゃくした後、胃に送って部分的に消化し、再び口に戻して咀しゃくする、を繰り返す動物)では、胃内のバクテリアの働きでトランス脂肪酸が作られてしまうので、その肉の脂身や乳などには少量ながらも含まれているのです。だから、クリスマスはローストビーフより、鶏ももグリルのほうがヘルシーです。

さらに、今回の場合、鶏肉は油を使ったフライ(揚げる)ではなくグリル(焼く)にした料理なので、生野菜サラダに油の入ったドレッシングやマヨネーズをたくさん使わなければ、トランス脂肪酸量はゼロに近づきます。