なぜ、グーグルは採用拠点をボストンに構えるか
他方、世界の大企業の管理職はどうなのか。
彼らは国内だけでなく海外の経済分析に敏感で、世界の業界動向を見ながら戦略の起動修正に追われる。海外企業の戦略案は、
・収益構造の大転換を引き起こす戦略
・世界市場でゆるぎない地位を築くため他を蹴落とす戦略
・市場最強になるための戦略
・収益性は確保されているが、事業そのものを刷新し進化を図る戦略
など、多種多様である。
その戦略遂行には専門的能力が必要とされる高度なケースも多く、既存の管理職は常に能力研鑽と向上を求められ、人員の外部登用も同時に検討される。そのため管理職は常にチャレンジするためのブラッシュアップが要求される。
さらには完璧な戦略遂行を行うための組織チーム作りや運営方法を変えるため、外部から専門家やビジネス遂行のためのプロフェッショナルの雇い入れも盛んである。
例えば、米国の高偏差値の大学が集積するボストンあたりでは、各大学周辺にグーグルやマイクロソフトが採用拠点を構え、次々と打ち出される新事業戦略遂行のために「一番手」となる要員獲得に躍起になっている。海外企業の職場には、年次ごとのチャレンジ、市場での成否、従業員の雇用維持がかかった、身の引き締まる緊張感が漂っている。
日本人の管理職が中堅になると活躍の機会を失い、仕事への意欲が停滞するのは、会社の都合、経営の都合が優先されすぎることが原因である。海外市場での競争が激化する中、日本企業が打ち勝っていくためには、個人の能力育成を前面に押し出した、企業の成長を後押しする「しくみ」と「仕掛け」が必要になってきている。