応用する前に必読! 2つの注意点

最後に、投資ビギナーが注意すべき点を2つ挙げておこう。

第1に、バフェット氏のアドバイスは「米国株」についてであるという点だ。バフェット氏は、日本株を保有しないことでも知られている。

その日本株といえば、昨年世界的にトップクラスの上昇率を出したにもかかわらず、世界の株式の時価総額に占める割合は8%程度にすぎない(14年4月現在)。これでは、バフェット氏の勧めるS&P500インデックスと異なり、日本株だけで十分な収益を得られず、効果的なリスク分散ができるとは言い難い。

ただし、それは世界全体の株式などに分散投資するインデックスファンドを選ぶことでカバーできるだろう。今や低コストで条件に見合ったようなファンドを選ぶことは難しくない。

第2に、投資金額がどれだけあるかという点である。バフェット氏の投資哲学が、資産を10年間で3倍にできる理論だとしても、100万円が10年間で300万円になることにどれだけの人がメリットを感じるだろうか?

もちろん、この低金利に慣れきった日本人にとっては魅力的かもしれない。だが、投資の妙味とはそんなものではない。バフェット氏が率いるバークシャーの65年から13年までの全期間の収益率は693518%という驚異的な数値なのだ。彼の投資理論は、10億円を10年間で30億円にする富裕層のためのもの、という指摘もあながち否定できない。投資資金が少ない投資ビギナーが、長期保有にこだわりすぎると、長期の下落相場では塩漬け状態に陥る。お金が必要な時期にそれを使えない可能性もあるのだ。

超長期投資のイメージが強いバフェット氏だが、すべての銘柄を保有し続けているわけではない。時代や状況の変化に対応できる柔軟性こそバフェット氏から学ぶべき点かもしれない。

Warren Buffett(ウォーレン・バフェット)
投資家。バークシャー・ハサウェイ社会長兼CEO。1930年、米国ネブラスカ州オマハ生まれ。率先して慈善事業を行い、質素な生活を送ることから敬愛の念を込めて「オマハの賢人」と呼ばれている。純資産470億ドルは、ビル・ゲイツに次いで世界第2位。
(小倉和徳=撮影)
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