それでも、投資ビギナーが落胆する必要はないという。次にこう続く。

「そのような素人投資家によい知らせがある。典型的な投資家にこのスキルは必要ない。米国のビジネスは全体としては素晴らしい成長を遂げてきており、今後もその傾向が続くだろう(時に予測できない好不況が生じるのはほぼ確実だが)」

そして彼は、ダウ・ジョーンズ工業平均株価指数がいかに上昇し、今後もさらに成長し続けるかを例に挙げ、投資ビギナーが目指すべきは「勝者を選別することではなく」「むしろ多様なビジネスに投資して全体として確実に成果を挙げることである」と語る。

バフェット氏は自身の遺言に「(運用に回す)現金の10%を短期国債に、90%をごく格安のS&P 500インデックスファンドに投資する」よう指示をしている。

さらに「この方針で行う長期運用の結果は、高給でアドバイザーを雇うほとんどの投資家(年金機構、機関投資家、個人投資家を問わず)の運用結果を上回ると確信している」と指摘する。

さあ、投資ビギナーが「何に」投資すべきかが決まった。次は、「いつ」投資するかだ。ところが、バフェット氏は、投資のタイミングも考える必要がないという。

「気の小さい投資の初心者にありがちなのが、市場が沸き立っている時期に参入し、含み損が発生するとがっかりしてしまうというパターンだ」

まったくその通りとしかいいようがない。13年の日本を振り返ってみればそれがわかる。13年12月最後の取引で日経平均株価は1万6291円31銭となり、09年以来4年ぶりの高値で終えた。安倍首相が就任した12年12月26日の終値は1万230円36銭だったから、約1年間で6000円以上も上昇したことになる。日経平均株価だけを見れば、アベノミクス効果は抜群だった。