顧客から苦情が入ったらどうするか。信頼を失うか、獲得できるか、大きな分かれ目だ。トップ営業マンの謝罪法を学ぶ。

「宝物や価値の再生工場」という社名の通り、トレジャーファクトリーは掘り出し物を探す「総合中古リサイクル店」として急成長。特に家具・家電・アパレルに強く、首都圏を中心に70店舗以上を展開する。陳列する商品の大部分は一般客による持ち込みだ。

中村秀紀さんは基幹店である足立西新井店を任されて4年目に入った。引っ越し、転勤、部屋の模様替えなどで処分する品をどう買い取り、商品を探す客のニーズにどう応えるかという「先見」が店長の腕の見せどころ。多くのお客に喜んでもらう“値ごろ感の湯加減”が一番難しいと話す。

トレジャーファクトリー 足立西新井店ストアマネージャー 中村秀紀氏●駿河台大学卒業後、2003年に入社。流山店長、練馬店長の後、10年から現職。かつての部下から10人近くの店長を輩出している。(※役職名は当時)

「お客様との関係で大切なのは『相互理解』です。中古品は買い取り基準がわかりにくい業種なので、売りにこられた方に手放さないよう勧める場合もあります」

2003年の入社以来、数店で現場経験を積み、流山店と練馬店で店長(ストアマネージャー)を務めた後、足立西新井店に来た。店長としての通算年数も6年(2013年現在)を超えるが「第二新卒で入社したので即戦力となれるよう理論と実践を磨いた」と振り返る。

原点は、大学時代の学園祭実行委員だという。一部門の責任者として30人のスタッフを抱え、初めて組織運営を経験した。クレームを受けて謝ること以外に、本質的な視点も学ぶ。きちんと説明する大切さだ。

「学園祭ではご年配の方に怒られると、つい謝ってしまいましたが、まずはお客様の疑問に応える姿勢が大切でした」

トレジャーファクトリーの店長の権限は大きい。商品購入、店頭レイアウト、陳列方法はもちろん、売り上げと利益の会計管理。商品の在庫管理・個別管理から、副店長や社員の教育、アルバイトの採用・育成まで多岐にわたる。その合間に店頭での接客も行う。