ジー・オー・ピー「勘からデータでの提案営業へ」●エクセルを使って、過去の工事での使用データから最適な使用量を算出するシステムを開発している。これまでは経験と勘でベテランが作成していた見積もりを、新人でも容易に作成することができるようになる。

建設用の足場を開発・レンタルしているジー・オー・ピーは、今年3月からエクセルを使った新しいシステムの開発を進めている。システムは過去の案件の金額や規模、建物の種類といったデータを基に、新規案件の予算をシミュレーションするためのものだ。

ジー・オー・ピーでは建設会社から見積もり依頼を受けた際、ベテランの担当者が1時間程度かけて見積もりを作成している。見積もりが作れるスキルがあるのは「20人の営業担当のうち4~5人ほど。経験が必要なうえに手間がかかるため、企業から依頼を受けたときにだけ見積もりをしている」(小野勝也業務課課長)。このような見積もりは、言わば建設会社主導の“受け身の見積もり”だ。これに対し、新システムで狙っているのは“攻めの見積もり”になる。

新システムを使えば、経験の浅い営業担当者であっても、容易に見積もりを作成できる。そのため、「依頼を受ける前に建設会社に見積もりを提示する、提案型の営業が可能になる」(岩本弦企画部部長)。

提示する見積もりは、エクセルを使ってその根拠となる数字が示せることも強みになるという。建設現場では「当初の使用計画に加え、現場の職人が必要な資材などを追加要求し、結果的にコストが上昇するのが問題でした。そのため事前に精度の高い予測を示すことはトータルコストの削減に繋がる」(同)。

エクセルを使ったシステム構築の際に特に苦労したのは、過去のデータの“掃除”だという。「例外的に納期が延びた案件のデータや、誤入力があったデータなどを予算のシミュレーションに使うと精度が下がってしまう。どういったデータを使う、残す、という部分では試行錯誤が必要だった」(小野課長)