顧客や上司・部下を怒らせてしまった……。大事なのは、汚名返上に向けた初動の対応だ。「雨降って地固まる」ための行動セオリーとは。

リストラされる側も大変だが、リストラする側にも心労はあるだろう。好んでその仕事をしているわけではない。業務の一環で、戦力外社員や、ぶら下がり社員、モンスター社員などに退職を迫らなければならないとき、どんな対応がベストか。

現行の労働法では、正社員を自由に解雇することはできない。ただその分、退職勧奨することは比較的自由だ。

「話し合いの中で、『あなたの待遇に見合う仕事はない』『能力がわが社のレベルには達していない』といった発言をしてもそれだけで違法になるわけではありません。きつい表現に思えますが、過去にはその種の発言を許す判例があります。担当者として、言うべき内容がシビアであるほど、淡々とはっきり言うべきです」(弁護士・向井蘭氏)

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裁判所は退職勧奨に寛容だ

営業の社員なら業績結果を、間接部門なら過去の人事評価など客観的な事実を踏まえるのがセオリーだ。退職に応じてもらえない場合は降格や給与の削減、転勤をともなう配置転換などをせざるをえないことを、やはり淡々とはっきり伝える。その後は強引に退職を迫らず、相手の出方を待つのが正しい。

退職勧奨をして、相手から手をあげて円満退社をしてもらうには、割増退職金を積むなどの解決金が必要となる。リストラ担当者としては、事前に、相手の社員の家族構成(妻は専業主婦か、子供は小さいか、など)や、経済情勢(住宅ローン返済の有無などを年末調整でチェック)の情報を仕入れ、それに応じた解決金の予算を上司と相談するといい、と向井氏。また、解決金の交渉の際、話をスムーズに進めるための上手な条件提示法があるという。