――持ち株会社としての戦略は?

【林田】各事業会社の細かなことには口を出さず、彼らが気づきにくい大きなトレンドを見てアドバイスをしていく。私たちが見極めなくてはいけないのは、求心力と遠心力。財務的に難しい局面なら求心力を働かせてグリップを締めなくてはいけないし、逆に成長が見込める局面では遠心力を働かせてサポートしていく。

いまは遠心力の局面だ。足元を見ると、中国が想定以上に悪く、アジア全体もスローダウンしている。また、ヨーロッパも不透明だ。しかし、アジアやインドの社会インフラ増強を考えると、いまは遠心力の局面だという中長期の判断を変える必要はない。一方、日本は当面、堅調に成長するものの、20年以降は需要が落ちる。その意味でもマーケットは外だという意識を持って、そこに遠心力を働かせていきたい。

JFEホールディングス社長 林田英治
1950年、神奈川県生まれ。73年慶應義塾大学経済学部卒業後、川崎製鉄入社。2009年JFEスチール代表取締役副社長。10年同代表取締役社長。15年4月JFEホールディングス代表取締役社長就任。

出身高校:神奈川県立湘南高校
長く在籍した部門
:経理と企画
座右の書(または最近読んだ本)
:『がんと闘った科学者の記録』
座右の銘
:情と理
趣味
:読書、散歩

(村上 敬=構成 宇佐美雅浩=撮影)
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