人には同じ24時間しかないのに、なぜ仕事の進み具合に差が出るのだろう。成果を挙げる人たちの話を聞いてみると、業界は違っても、段取りに対する共通の意識が見えてきた。
時間をかけてもアイデアは出てこない
「くまモン」の生みの親で、東京ミッドタウン、中川政七商店などのブランディングを成功させてきたクリエーティブディレクターの水野学さん。代表を務める「good design company」はプロデューサーである妻、由紀子さんをはじめスタッフ12名の規模ながら、抱える案件は常時20件を超える。
そのオフィスで目を引くのが、壁に貼られたスケジュール表だ。スタッフ全員の1日の予定が付箋に書かれ、作業を終えるたび、各自はがしていく。
「誰がどんな作業をしているのか、進行の遅れはないかなどが一目でチェックできます。みんなが時間を意識しないと、仕事が回りませんから」
水野さん自身、時間にはシビアだ。象徴的なのはクライアントとの打ち合わせ。できる限り、顧客に事務所に来てもらうようお願いする。
「途中で資料が必要になっても、社内ならすぐに提示できる。一度、持ち帰るという無駄が解消できるのです」
結果として、先方に出向くための移動の時間も省けるため、1日の打ち合わせは平均3件と実に効率がいい。打ち合わせは14時から夕刻までに入れ、19時頃からはデザイナーとしての仕事を進める。夜なら電話に時間を取られることがない。驚くのは、仕事のスピード感だ。水野さんが1つのアイデアを生むために費やす時間は30分。
「それ以上時間をかけてもよいアイデアは出てこない」という。