次にトレーニングを受けるときの基本姿勢について習っていると、永井先生が何やら1mくらいの棒を取り出した。
「先生、その棒はいったい?」
「米倉さん、いまからこの棒でお腹を押します。いいですか」
「えっ、ど、どうぞ。なるべく軽く……」
永井先生が押すのは、へそ下9cmのいわゆる「丹田」と呼ばれる部分。米倉さんは息を吐きながら、お腹を張って棒を押し返す。
「息を口から吸って~、止めて! まだ吐かないで。大丈夫、死にません。そうそう」
永井先生は意外と体育会系のようである。
【3】トレーニング開始
1)トレーニングをするときは正しい姿勢で行うこと。肩の力を抜いて両足を肩幅の広さに開き、つま先を開かず両足を平行にして立つ。そうすることでお尻の両脇が締まる。肋骨を持ち上げるようにするとよい姿勢になる。
2)口の中の空間を広く取るよう、上下の歯を離して唇を閉じる。舌を伸ばして舌先を下の歯茎につける。ロバやラクダのように鼻の下からあごまでが長くなるとよい。
3)息を吐いても丹田(へそ下3寸=約9cmの部分)が凹まず張っていれば、横隔膜が使えている証拠。棒などで強く押されても、筋肉が押し返す状態をキープする。