いま才能が目覚めた!

「横隔膜ブレス」で横隔膜を鍛えたあとは、犬のような呼吸を繰り返す「ドギーブレス」のレッスン。米倉さんの呼吸がやや浅く、先生のお手本通りにできない。

「もっと深く呼吸してほしいんだけど、難しそうですね。じゃあ、犬が吠えるときの勢いを身につけるために、ちょっと吠えてみてください。ウー、ワン! はい、やってみて」
「本当に噛みつかれそうですね……ワン」

「チワワみたいにキャンと鳴くんじゃなくて、ラブラドールくらいの大型犬になったつもりで。まだまだ自分を捨ててない。もっと犬になりきって!」
「ワン!」
「まだ人間ですねえ」

「人間だもの……」とつぶやく米倉さんだったが、「低音トレーニング」が佳境に入ると、声が急に低くなった。オペラ歌手のように空気をビリビリと震わせている。

「わあ、いま才能が目覚めました! これがもともと持っていらした声なんですよ。続ければ1カ月後には福山雅治みたいな声になりますよ」

ほめちぎる永井先生。確かにレッスン前とは別人のような低い声になっている。しかし米倉さんは「先生、福山雅治は他社のCMキャラクターですから」と愛社精神を忘れない。

【4】横隔膜ブレス:横隔膜を鍛える
【4】横隔膜ブレス

1) 基本姿勢をとり、肋骨の下に両手を当てて、肩を上げないようにしながら口から大きくゆっくり息を吸う。
2腹がパンと張っているのを手で確認。
3リスがエサを頬張ったときのように頬をパンパンに膨らませて、唇のすき間から5秒間、思い切り息を吐く。自転車のタイヤから空気が抜けるときのイメージで、途中で勢いを弱めず一定の強さで行う。頬も最後まで膨らませたまま。これを5回繰り返す。

 
【5】ドギーブレス:横隔膜を思い通りに動かす
【5】ドギーブレス

1)基本姿勢をとり、両手を肋骨の下に当てる。
2)「あ」の形に口を開け、下唇の上に軽く舌をのせる。
3)暑い日に犬がハアハアと息をするように、立て続けに息を吸ったり吐いたりする。吐く息と吸う息の量を同じに。10秒間に30呼吸くらいを目安に。これを2回繰り返す。

 
【6】低音トレーニング:信頼感を与える声をつくる

【6】低音トレーニング

1)基本姿勢をとり、左手を腹に当て、右手の手のひらを上に向けて頭の上にかかげる。
2)大きくゆっくり息を吸ったら、「はあ!」と高い声を出し、そのまま声を切らずに、物が落下するときの効果音のように音程を下げていく。右手も音程に合わせて下げていく。1回10秒で、5回繰り返す。

レッスン終了後、最初に録音したのと同じセリフを言ってもらい、聞き比べてみる。まるで別人のようなバリトンボイスだ。

「2時間前にくらべて、深みのあるいい声になってます。これはもう社長の風格ですよ」

永井先生にほめてもらった米倉さん。「これからはニュー米倉でいきます!」と力強い低音で答えたのだった。

(澁谷高晴=撮影)
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