読書感想文は「お手本」を視写して型をまねる

さて、いよいよ読書感想文対策です。これは、やるとわかりますが、なかなかの難物です。「読書感想文対策」というだけで1つの商売になるほどですから、子どもが苦戦するのも無理はありません。そもそも、読書というのは感想文を書いて人に伝えることを目的としていません。

つまり、読書感想文は、普通の作文とは違います。

コンテストに入賞するような読書感想文には、ある程度の型が決まっているのです。その型が最もよくわかる方法は、過去の受賞作品を読むことです。低学年と高学年ではかなり書き方に違いがあるので、読んでその違いを実感してください。

最も効果的な学習方法は、原稿用紙を用意して、それらの文章を視写する(手本を見て書き写す)ことです。型が身につきます(ただ、その作業が楽しいかどうかは保証しません。子どもにやらせる前に、親自身がやってみた方がよろしいかと思います)。

読書感想文の型の共通点をごく簡単に言うと「自分の体験と本の内容を前向きに関連付けること」です。「読書紹介文」になってもダメだし、文字通りの「感想文」になってもダメ。分量は少なすぎても多すぎてもダメ。あくまで、その本を読んだことで、自分の体験と結びつけ、そこから前向きな感情が生まれたことをまとめて記述していく必要があります。

書き方がわからなければ、先に示したお手本作文をもとに、文章を当てはめていけば作品の形が整います。インタビュー形式で、「○○君のあの体験と主人公のこの体験は似ているよね」「おばあちゃんちに行った時のあの出来事と同じだね」などと関連づけて書かせていけば、作文としてはでき上がります。

ただ、ここまで書いておいて何ですが、教師の立場から本音で言うと、「型」を元にした書き方に問題点がないわけではありません。システマティックになってしまう傾向が出るのは否めません。拙くても形が整ってなくてもいいから、子ども自身の書いたものがいいと思っています。次項にその理由を述べます。