関節の痛みと腫れ、さらに進むと関節の変形にも苦しめられる関節リウマチ。この病名を聞くと、女性の病気と思う人が多い。確かに女性に多いものの、患者の20%は男性なのである。発症年齢は30代から50代で、患者数は100万人を超えていると推測されている。

そのメカニズムは“免疫の異常”。いわゆる「自己免疫疾患」である。本来、免疫は外から体内に侵入してくる細菌やウイルスなどを叩く自己防衛システム。ところが、その免疫が自分自身の体を叩いてしまうのが自己免疫疾患である。関節リウマチの場合は、関節の中でそれが起きている。

関節は関節包に包まれており、その内側は滑膜で包まれている。背広の裏地のような組織である。その滑膜が現時点ではなぜかわからないが増殖し、軟骨を溶かし、骨を溶かし、関節を破壊する。

症状は患者一人ひとり異なるので、それぞれの状態に合わせたオーダーメード医療が重要なポイントとなる。

治療は1980年代までは弱い治療薬から強い治療薬へと段階的に積みあげていく“ピラミッド型治療”だった。今日では最初から強い治療薬を使うといわれるものの、そうはいっても現場では有効性の強い治療薬を徐々に積みあげているのが現状である。有効性の高い治療は以下のふたつ。

(1)非ステロイド系抗炎症薬とステロイド薬……関節の症状や痛みを抑える治療薬である。(2)抗リウマチ薬と生物学的製剤……関節リウマチそのものを抑え、関節破壊が進まないようにする薬である。

(1)と(2)を上手に使いわけ、(2)では抗リウマチ薬の使い方がキーポイントとなる。早期から抗リウマチ薬で炎症をきっちり抑えるのである。

抗リウマチ薬では、リウマトレックスが世界的にもリウマチ治療の標準薬と評価されている。一週間に1日か2日のみ服用する。

リウマトレックスは免疫を抑制する作用があるので、風邪などをひいたときは服用を中止する。そのほか、肝障害、間質性肺炎といった副作用もあるので、定期的に検査を受ける必要がある。

これで進行が抑えられないときは、生物学的製剤を使う。関節リウマチを悪化させている滑膜から放出されるサイトカインという物質を無力化させる薬である。日本では「レミケード」と「エンブレル」が認可されている。

関節の破壊はかなり抑えられ、長期間使う薬の中では最も効果のある薬である。ただし、患者の誰にでも投与できるのではなく、「結核にかかったことがある人」などは抗結核薬を使いながら使用することになるし、「体力が低下している人」には使用できない。

最先端の薬物療法で治療する一方で、日々のリハビリは欠かせない。関節の可動域をキープするために、1日1回は、すべての関節の曲げ伸ばしを行うべきである。

 

食生活のワンポイント

関節リウマチは生活習慣病ではないことははっきりしている。だから、何をしたから発症に関係するということはない。逆に、何をしたら、何を食べたら改善するということもない。

ただ、健康人とリウマチ患者の食行動を比較した「関節リウマチ患者の食生活に関する問題点について」(「日本医事新報」)から予防に関する点をピックアップしよう。

●禁煙する!
関節リウマチのリスク因子という報告もある。また、時代の流れでもある。

●お酒の暴飲はしない!

●青背の魚を食べよう!
青背の魚に多いエイコサペンタエン酸(EPA)には炎症を抑える働きがある。

●栄養バランスの良い食生活を心がける!