実際に働いた人から情報が得られる

おそらく、多くの学生は、「リクナビ」や「マイナビ」といった新卒情報サイトのほか、「みんなの就職活動日記」など就活生が投稿しているクチコミサイトやSNSを、主な情報源としていると思います。

しかし、これらの内容は、あくまで学生目線の情報でしかありません。新卒情報サイトには、企業の人事担当者や先輩社員からのアドバイスなども掲載されていますが、会社をPRするための媒体ですので、自社にとって不利になるようなネガティブ材料は出てきません。

一方、転職クチコミサイトの場合は、匿名で在籍企業や退職した企業の情報が書き込まれています。実際に働いたことのある人が、その会社の良いところも悪いところも投稿しています。表は、各サイトが設定している会社評価の要素です。投稿者の平均点が、各項目とも5点満点で表示され、総合評価点の業界別ランキングなども出ています。これら会社評価の項目は、就職先を選ぶ際の観点としても活用できるでしょう。

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転職クチコミサイトの会社評価基準

もちろん、在職者や退職者のクチコミだからといって、全面的に信用するのは危険です。退職者の多くはその会社と合わなくて辞めた人たちですし、在職者といっても一部の社員が投稿しているだけですので、鵜呑みにするわけにはいきません。中には、自社を少しでも良く見せようと、採用担当者が自ら投稿しているかもしれません。

とはいえ、複数の投稿者の意見を比較しながら読んでみると、働き手目線での企業風土や強弱ポイントが浮かび上がってきます。1人か2人ならともかく、何十人、何百人の投稿者が結託して意図された意見を流せば、不自然で違和感を覚えます。これは、アマゾンの書籍カスタマーレビューや、ぐるなびや食べログにおける各店へのクチコミなどと同様です。

例年、大学生の人気企業ランキングが、就職情報企業から発表されます。上位には誰もが知っている大企業や有名企業が並びます。ところが、過半数の学生は、中堅・中小企業に入社することになります。大企業や有名企業と異なり、中小企業の個別情報は極端に減少します。

その意味でも、転職クチコミサイトは有効です。零細企業はともかく、社員数100名前後の企業であれば、掲載されているケースも少なくないからです。

まずは各サイトで、就職先候補として考えている会社を調べてみてください。

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