力づくで部下を動かす?
会社の部下の指導がうまくいかないというAさんの例を元に対話形式でご紹介しましょう。
Cさん:部下の主体性がなく困っているんです。
古川:もう少し具体的にいうと?
Cさん:とにかくこと細かく指示しないと動かないし、やる気が見えないというか、いつも覇気がなくてイライラしてつい口調が厳しくなるんです。
古川:なるほど、イライラしてもどかしいんですね。
Cさん:そうなんです。どうすれば変わりますか?
古川:まず、変えるべきはCさんの方です。部下の方を強引に変えることはできません。
Cさん:いやそれが私の上司としての努めですから。
古川:それは分かります。でも、Cさんができることとできないことを区別しなければなりません。Cさんにできるのは、教育やコミュニケーションについて部下の方に対し最良のものを試みることであって、その結果部下が変わるかどうかは別の話です。結果は完全にコントロールできませんが、原因はコントロールできます。Cさんに完全にコントロールできることは自分の部下への教育のアプローチです。
Cさん:確かにそうですね。私なりに色々やりましたが。
古川:でも思う結果が出ていないならアプローチを変えてみることですね。何ができますか? 自分を主語で考えて見てください。
Cさん:私ができることは、まず部下のA君の本音を聞くことでしょうか。それと指示し過ぎなので、自分で考えるように質問をしていくことはできます。
古川:いいですね! 他にはありますか?
Cさん:部下に今の自分の気持ちや将来の期待を伝えて、上司である私がどのように接したら自分の力が出せるか聞いてみることもできますね。あとは、隣の部署の課長は結構若手をやる気にさせるのがうまいので、どうやっているのか観察してみようと思います。
解説
前半を見ていると、Cさんは完全に部下の行動にイライラさせられて受動的パターンに入っています。コントロールできない部下の行動を何とか変えようと袋小路に入っています。
でも後半は、自分にできることは何かと考えて、能動的パターンに入りました。言葉の使い方も「部下が~しない」から「私が~する」というように変化してきました。
このように、言葉の使い方、心のポジションが能動的か受動的か、自分で客観視することで感情のコントロールがしやすくなります。