“かしこカワイイ”太田流・話し方
いま営業の世界では、どれだけ売らないかで契約が決まるといわれています。お客様は基本的に断るつもりで営業に会うため、いきなり商談に入るのはアウト。こちらから売らずに接触回数を増やして、まずは関係を構築するのが、近年の営業のトレンドです。ただ、商談に入らない営業担当に何度も会ってくれるほどお客様も暇ではありません。そこで必要になるのが情報提供。いまの時代は、魅力的な情報を会話の中に盛り込んで、お客様と継続的な関係を築くことができる営業が強いのです。
効果的に情報提供するには、まずお客様が何に興味を持っているのかを知る必要があります。そこで何気ない会話や動作の中からお客様の嗜好や関心事を探っていくことになりますが、それらを敏感にキャッチするのは女性の方が得意。そこに営業女子のアドバンテージがあります。
ただ、営業女子も千差万別です。女性らしい繊細な感性を持っているのに、話し方で損をしている人も少なくありません。
とくに気をつけたいのは、男性に負けまいと肩に力が入り、正論をふりかざしてしまう営業女子です。風向きは変わりつつありますが、いまだ企業の意思決定は男性社会の原理で行われています。男性社会の意思決定はメンツ重視。顔を潰さないように、事前の根回しが必須です。そうした原理で動いているお客様に対して、「それは違うと思います」「私はこう思います」と単刀直入に話すと、生意気に思われるだけです。伝えたいことがあれば、相手を立てたうえで自分の提案をするという順序を守ったほうがいいでしょう。
男性と張り合うようにして話す傾向は、真面目で一生懸命頑張っている営業女子ほど強い。かくいう私も、リクルート時代は自分の弱みを見せてはダメだと思い、子どもがいることも内緒にしていました。もちろん子どもがいることは誇らしいことなのですが、当時は「女性だから、母だから」という目で見られることが嫌で隠していました。