一方、60~70代に増えてくるのが脊柱管狭窄症だ。これは背骨の関節の近くにある黄色じん帯が厚く、硬くなって出っ張り、神経を後ろから圧迫することで起こる。脊柱管狭窄症は脊柱管が生まれつき狭い人がなりやすい。

比較的軽い脊柱管狭窄症の人は、神経の血流を改善する薬の服用または点滴で症状は軽減回復する。圧迫された神経に選択的に局所麻酔剤を入れる神経ブロック注射が有効な人もいる。足の筋力が落ちている、尿が出づらいといった麻痺のある人には、手術をしなければならない場合が多い。骨を削って圧迫を取る除圧術が基本になる。治療費は、椎間板ヘルニアも脊柱管狭窄症も短期間の入院で済み健康保険の適用なので、高額療養費制度によって負担が軽くなる。

脊柱管狭窄症と同様、高齢にともない発症が増えるのが骨粗鬆症だ。骨粗鬆症による腰痛の典型は圧迫骨折だ。骨粗鬆症は、閉経後に骨量が急激に減っていく女性に多い病気だが、男性もスピードがやや緩やかながら、やはり骨量が減っていくことにかわりはない。

骨粗鬆症の治療は投薬が中心になる。近年、昭和大学・須田立雄名誉教授が世界に先駆けて破骨細胞の分化誘導因子を発見し、その後、人にも有効な治療薬(デノスマブ)が使われるようになった。デノスマブは、破骨細胞の働きを活発にするRANKLという物質と結合し、破骨細胞が活性化するのを阻止して、骨が弱くなるのを防ぐ。半年に1回の点滴で有効である。健康保険の対象にもなっている。

腰痛の予防法は、まず腹筋と背筋の両方をバランスよく鍛えることだ。筋肉が強ければ、腰椎を守り、痛みを防いでくれる。エアロビクスは、歩く、走る、泳ぐよりも予防効果は高い。ストレッチングや無理をしない腹筋、背筋の運動を短時間でも毎日続けることが腰痛予防には大切だ。

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(吉田茂人=構成 小倉和徳=撮影)