そんな生活の中で、頭を痛めたのはやはり教育費だ。塾や予備校に通わせれば、年間で数10万円のお金が軽く飛んでいく。高校や大学の授業料は元夫が払うにしても、受験料や入学金も用意しなければならない。さらに、長男は高校から私立に通い、元夫からの送金だけでは到底、足りなかった。
そうした教育費を工面するために、陽子さんは公的な支援をフル活用した。都や国から支給される母子家庭手当には一切、手をつけずにコツコツ貯蓄。都立高校の授業料も母子家庭は免除になると聞くや、手続きに走る。元夫からの送金も貯蓄へ。そうやって将来に備えて蓄えていたからこそ、子供たちを塾や予備校に通わせられたのである。
もっとも、次男と三男の場合、高校受験のために塾に通ったのは中学3年の1年間だけ。大学受験のときにも「もう行かせないとまずい」という高校2年の秋まで予備校通いを待たせていた。それでも2人は常に学年で上位の成績をキープし続けていたのだという。
勉強は与えられるものでなく、自ら学び取るもの。そんな教えがおのずと実践されていたからこそ、優秀な子供たちが育ったともいえるのではないだろうか。
今春、双子の2人は無事に就職。教育費の心配がなくなった。肩の荷がおりて少しは贅沢をしてもよさそうだが、浮いたお金は変わらずに貯金をしているという。そのお金を将来、孫ができたら学費として渡す。それが陽子さんの新たな夢になっている。
(キッチンミノル=撮影)