さて、こんなふうにスキマ時間を使った勉強法の強い味方がスマホである。せっかくスマホを持っているのに、フェイスブックばかりしているのは実にもったいない。スマホを持つということは、自分の掌中にインターネットという小宇宙があるのと同じだ。

茂木健一郎氏

日本では「インターネットで勉強する」という発想があまりないが、本気で学びたい人にとっては宝の山である。試しにカントの『純粋理性批判』やダーウィンの『種の起源』を検索してみてほしい。原文がすべて無料で読めることに驚くだろう。あるいはグーグルの「GOOGLE SCHOLAR」で検索すれば、興味のあるキーワードを入れるだけで論文がPDFファイルで読めるようになっている。ということは、勉強したい気持ちがあるなら、もはや大学へ行く必要はない。僕はインターネットだけで勉強してノーベル賞をとる人も、いずれ現れると思っている。

そういうわけで、僕はiPadも持っているが、ほとんど持ち歩かなくなってしまった。iPhoneで十分だ。この小さなデバイスのなかに、一昔前のデスクトップパソコンよりもはるかに多い容量が収まっている。もはや勉強は机の上でする時代ではない。

たとえば僕はエスカレーターに乗ったら、必ず左側に立つ。つまり急ぐ人のために片側を開けておき、自分は動かない。歩いて上っても十数秒しか違わないから、その間iPhoneを立ち上げる。

いまは「i読書 青空文庫」というアプリで夏目漱石の『三四郎』を読んでいるので、これを数ページ読み進める。あるいは「ビッグデータ」という言葉を最近よく耳にするなと思ったら、ウィキペディアで意味を調べることもある。電車やバスを待つまでの間はもちろん、トイレに腰掛けているほんの数十秒でもスマホを活用することは、フロー状態に入るためのトレーニングになるのだ。

インターネットの閲覧以外にも、できることはまだまだある。僕はツイッターのアカウントを2つ持っているが、そのうち英語で書いているほうでは、国際政治や、最新テクノロジー、新商品など気になるニュースをクリッピングして配信している。これは僕のアカウントをフォローしている人との情報共有という意味もあるが、自分専用のスクラップブックをつくるという目的もある。

いま大流行中のLINEも、ただの若者向け無料通話アプリだと思ったら大間違いで、仲間同士でうまく使えば密度の濃い議論をスピーディーに繰り広げることができる。ベンチャー企業の経営者たちには、40~50代でもLINEを使いこなしている人がたくさんいる。最先端の場所に身を置かなければイノベーションは起こせないということを知っているのだろう。