京都人は案外おせっかい
共通するのは、副題にあるように、京都という「アウェイな場所」で起業し、うまく街に溶け込み、仕事を軌道に乗せた点だ。その秘訣を探ったのが本書である。ちなみに編者のアリカも、よそ者が京都で立ち上げた編集プロダクションだ。
意外だったのは、登場する人がそろって、京都はよそ者に対して特段厳しくはないと述べていること。それだけ彼らの適応力が高かったということだろうが、まさにその適応力に成功の秘密があるといえる。彼らが共通して指摘するのが、人と人のつながりの大切さだ。それを構築するのが難儀なわけで、京都人特有とされるつかず離れずの距離感、社交辞令的なもの言い、ホンネとタテマエといった洗礼を受け、「いけず」「京都人は冷たい」となりがち。京都人的な長期的視野で捉えないと、短期に結果を求めると失敗する。幾人もが語っているように、京都人のそうした言動をあまり難しく考えず、鈍感力も人間関係を築く上で大事なコツのようだ。
いざ人とのつながりができると、京都のよくも悪くも「狭い」土地柄が力を発揮する。京都は100万都市だが、街がコンパクトで密度が濃い。京都人は案外おせっかいで、共同体・仲間意識も強い。それが重要な武器になる。人の「紹介」で仕事が広がっていく。
京都のブランド力は絶大だ。国内外を問わない。リアルでもネットでもみなうまく活用して商売に結びつけている。
と、書いていていたら、遊びに行きたくなってきた。春だし、ちょうどいい。本書に登場するゲストハウスに泊まって、おいしいパンを食べて、うまいコーヒーを飲もう。