2人の主人公が登場する。新卒で入社した会社を辞め、起業を志す20代の若者。そして大手不動産会社のリストラ部長を務めた後、最後は自らも会社を去ったその父親――。年の離れた親子の奮闘を通して著者の江波戸哲夫さんが描いたのは、経済不況下での様々な困難に直面しながら、それを乗り越えていく希望の物語だ。
江波戸哲夫●えばと・てつお 1946年、東京都生まれ。東京大学経済学部卒業。三井銀行(当時)を1年で退職し、出版社に勤務。83年作家として独立。著書に『ジャパン・プライド』『小説 盛田昭夫学校』(ともに講談社文庫)、『リーダーシップ原論』(プレジデント社刊)などがある。
「仕事や労働をわが手にすることは、その人の幸せに必ず繋がる。同じく仕事によって自分を表現したいという欲求は、どんな人の中にも眠っている。人生はもちろん仕事だけではないし、家族もいれば、恋人や友人もいます。それでも仕事によって社会と繋がっているという実感を持てる人は、人生の半分は幸せだと言えるのではないか、という思いが僕の中にあるんです」
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(遠藤素子=撮影)


