英語学習の世界には、さまざまな“勉強法”が溢れている。脳科学の観点から、どれが本当に効率的な学習法かを考えてみよう。
優れた日本語感覚が上達を遅らせる
単語や文法は、単語帳や参考書で読んでインプット。長文を読んでわからない単語が出てくれば、すかさず電子辞書でチェック。苦手なリスニングは、海外のニュース番組を見て英語をシャワーのように浴びて耳を慣れさせる――。
このようなスタイルで勉強している人がいるとしたら要注意。これらの勉強法は、脳科学の観点から見て効果的なやり方とはいえないからだ。
「人間の本能である言語は、脳から説明がつきます」
と教えてくれたのは、東京大学大学院総合文化研究科の酒井邦嘉教授だ。
「たとえば日本人が英語をうまく話せないのは、脳が日本語にチューニングされているからです。その脳で英語を聴けば日本語のように聴こえるし、英語を話すときは日本語のように話してしまう。英語が上達しないのは、センスがないからではなく、むしろ優れた日本語感覚を持っているからなのです」
ただ、一度、日本語にチューンナップされたからといって、他の言語に対応できないわけではない。
「脳は複数の言語に対応できる柔軟性を持っています。たとえばヨーロッパのように多言語の地域で育てば、子どもは自然にバイリンガルになる。要は学習しだいです」