1. 持論にこだわる
「何を話したか」より「誰が話したか」

自分のペースに持っていくためにはたくさん喋って主張する――。そんなふうに考える人もいますが、必ずしも正しい方法とは限りません。特に女性は仲良くなるほど会話時間が増えるのですが、反対に男性は信頼しあうにつれて会話量が減る傾向があります。このため男性に対しては、饒舌であるよりも、言葉ですべてを言い尽くさない「以心伝心」の態度を選んだほうが、相手と同調できる可能性が高いのです。

余計な言葉を削り、自分の意見として話す!

第一、たくさん言葉を重ねても、その内容が空虚であったら意味がありません。家庭不和に悩む家族の会話を分析してみると、発言の多くが一般論であることが多いのです。心理学では「何を話したか」より「誰が話したか」のほうが、聞き手に強い印象を残すことが知られています。一般論とは発話者が誰であっても同じ内容ですから、論理的には正しくても、相手には響かない。むしろ語れば語るほど、その人が信用できないように感じられます。つまり饒舌さで自分を大きく見せようとしても、多くの場合は失敗してしまうのです。「つい無駄話ばかりをしてしまう」という人に対して、私は「主語を意識して話しましょう」とアドバイスしています。たとえば会議で発言を求められたら、「私はこう思うんですけど――」と前置きして話し始めるのです。「私」という主語を添えることによって、聞き手に「この人は自分の発言に責任を持っているんだな」という印象を与えます。「一般的には××です」という人にくらべて、発言者を立派に見せ、説得力を高める効果があります。

「自分の考えはこうだ」というフォーマットで喋る癖のある人は、エリートが多い、という海外の研究報告もあります。余計な言葉を削り、自分の意見として話す「オレオレ話法」を磨いてはいかがでしょうか。