「周囲に迷惑かける」のを嫌う心理
ビジネスにおいても土壇場で契約しない客に対して、その人の周辺事情に目を転じて、話を切り替えてみると、契約成立する糸口が出てくることが往々にしてある。
一番わかりやすいのは、保険などの勧誘であろう。
本人が今、とても健康であっても、もし病気や事故などに遭えば、周りの家族に迷惑がかかることになる。そこでその万が一の時に備えて多少の負担にはなるが、お金を払い、生命保険に入る。火災保険や、地震保険なども同じことである。
塾なども「入会」を契約をするにあたって、まず体験授業などで子供のやる気を出させ、それから「お子さんはとてもやる気になっています。入会しないとせっかくのやる気をそいでしまいます」と、親への説得にあたる。あるいは、その逆で子供が乗り気でなければ、親に子供の学力不足を指摘しながら、塾通いの必要性を説き、その後に子供に学習意欲を促す。
この周辺事情に目線を変えて説得することは、同調行為を重視しがちな日本人には、極めて効果的な手法となるのである。