フォロワーシップが生み出すリーダーシップ
以前にも、学者エヴェリット・ロジャーズ氏が作った「普及と時間の関係」を表す分布図から、新製品の普及がどんな風に起こるかをまとめた表をご紹介させていただいた。商品(ここでは運動)が普及していく段階で、行動を起こす時間的なズレから消費者(フォロワー)を5つに分類している(「優れたリーダーが人の行動を促す「なぜか」の理念(http://president.jp/articles/-/12699)」の回参照)。
この最初のフォロワーたち(15%ほど)がイノベーター<革新者 2.5%>とアーリー・アダプター<初期採用者 13.5%>であり、リーダーの一端を担う人間である。ただし、次の段階のアーリー・マジョリティ<初期多数派 34%>までのギャップが大きい。
爆発的に人に広がっていくためには、このアーリー・アダプターからマジョリティのギャップを埋める臨界点、つまりは、市場浸透率の15%から18%に達する必要がある。この層に届くことで、「人が持っている」「よかったらしい」(だから私も加わる)と残りの人たちにも広がりやすくなり、市場ではヒットにつながるだろう。
同様に、多くの人が加わるほどに自分に振ってかかるリスクは小さくなるために、決めかねていた人たちも、今や加わらない理由はなくなる。もう目立つことも、笑われることもない。さらには、急げばコア集団に入れそうだと駆け出すかもしれない。こうして運動は大きなムーブメントに変わっていくわけだ。
だからこそ、リーダーは自分の直感に従って決める初期の行動を起こしてくれるイノベーターたちを惹きつけて、「そうしたい」と思ってもらい、行動を促すことが必要なのだ。そこで大切なのは、最初のフォロワーであるイノベーターたちを平等に扱うことである。
市場やムーブメントでのリーダーシップをとったのは、最初に踊り出した男性ではなく、それに追随し、その方法をみんなに示した最初のフォロワーだ。新たなフォロワーたちはリーダーではなくフォロワーを真似るだろう。
リーダーはフォロワーがあってこそつくりあげられるものであり、リーダーひとりではリーダーたりえない。スゴイことをしている”孤独なバカ”を見つけたら、立ち上がって参加する最初の人間となることも、ものごとを自分で動かすためには必要な勇気なのだ。
[脚注・参考資料]
TED Derek Sivers, How to start a movement, Filmed Feb 2010 TED
https://www.ted.com/talks/derek_sivers_how_to_start_a_movement