自営業やフリーランスとして働く人はどうすべきか。投資や年金に詳しいファイナンシャル・プランナーの深野康彦氏は、国民年金基金への加入と、それに小規模企業共済を加えることを勧める。

「両者は毎月の掛け金が全額所得控除の対象になるので所得税や住民税が軽減されます。現時点での比較であれば口座管理料などのコストがかかる個人型401kや、金利が低いうえに利息が課税対象となる預金よりも優れていますよ」

お金の準備も大切だが、山崎氏は退職しても別の仕事に就ける能力や体力、働く機会を早い段階から準備しておくことが重要だと言う。

「退職後に仕事として成り立たせるためには助走期間が必要になるので、40代から準備したい。私は片足をサラリーマンに引っかけたまま経済評論家の副業を始めて、少しずつシフトしていきました。いきなり退職して独立するのは現実的でないと思ったのです。できれば会社に籍を置きながら、会社から得る収入のウエートを下げて、退職後も続けられる別の仕事から得る収入のウエートを膨らませていくことを考えるべきですね」

公的年金を減額されても生活が維持できるよう、減額分を補う仕組みを個人年金保険や貯蓄等でつくる一方で、退職後も働ける仕事を準備しておく。老後の不安を解消するために二重三重のセーフティネットを自分で張りめぐらせておこう。

【ヒント】個人年金加入なら、40代半ばから生命保険を見直す手も

子供が小さいうちは生命保険を厚くして、子供の将来に備える。子供が大学生になったら生命保険の死亡保障を減らし、代わりに個人年金を厚くして自分の老後に備えよう。

小黒一正(おぐろ・かずまさ)
法政大学経済学部准教授。1974年生まれ。一橋大学大学院経済学研究科博士課程修了後、大蔵省入省。一橋大学経済研究所准教授などを経て、2013年4月より現職。専門は公共経済学。

山崎 元
(やまざき・はじめ)
経済評論家。楽天証券経済研究所客員研究員。1958年生まれ。東京大学経済学部卒業後、三菱商事に入社。その後、12回の転職を経て現職。専門は資産運用。

北村庄吾
(きたむら・しょうご)
社会保険労務士、ファイナンシャル・プランナー。1961年生まれ。中央大学法学部卒業。91年、法律系国家資格者の総合事務所BraiNを設立。年金問題に詳しい。

深野康彦
(ふかの・やすひこ)
ファイナンシャルリサーチ代表。1962年生まれ。完全独立系ファイナンシャル・プランナーとして個人のコンサルティングを行いながら、さまざまなメディアを通じて情報を発信している。
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