少子高齢化にともなう社会保障費の負担増、そして消費税アップ、年金支給開始年齢の引き上げ、雇用不安……出るお金は増え、入るお金は減る一方。つぎつぎと迫る危機に、我々は貯蓄だけで防衛できるのだろうか。家計を守るひとつの方法として、保険との上手なつき合い方を探ってみよう。
消費税25%でも社会保障の質は下がる
「明るい未来が待っている」とは書けなかった。今から30年後の2040年代の日本の社会保障財政は「まだ悪化の一途をたどっているはず」と法政大学経済学部准教授の小黒一正氏は予測する。
「13年度で110兆円に達した社会保障給付費(年金約50兆円、医療約35兆円、介護約9兆円、その他16兆円)は、ここ10年間の平均で毎年約2.6兆円ずつ増えている。消費税率1%の引き上げで約2.5兆円の増収が見込まれるとしても、5%引き上げ分13兆円は5年で食いつぶすことになります」
では社会保障費を抑制せずに、財政を安定させる税率を消費税で換算するとどうなるのか。小黒氏の計算では30%を超え、他国にも例のない高消費税率になる。そこで欧州の消費税に当たる付加価値税率(20~25%程度)に揃えたとしても13兆円の抑制が必要になる。
「現状に置き換えるとわかりやすいと思うのですが、13兆円は110兆円の社会保障費のおよそ1割ですから、社会保障のレベルが1割落ちる感じです」
25%の消費税を受け入れても、厳しい老後が待っている。そこで個人の自己防衛手段として民間の保険に加入している人は多い。では保険にさえ加入していれば老後の備えは万全なのだろうか。その答えは2つの面から探らなければならない。すなわち、(1)高い保険料を負担し続けて家計が破綻しないのか。(2)逆に保険に加入しなくても預金で万一の備えができるのか。
「保険に対する感覚が40歳前後できれいに分かれるんですよ」と言うのは、ファイナンシャル・プランナー藤川太氏。