「3000人採用」組がグループの中軸に成長

採用枠が一番多かったのは、個人ユーザーなどに営業を行う「販売職」で、920人でした。それに次いで、本部業務や法人向けの提案営業などを行う「営業・企画・管理職」が700人、顧客対応を行う「カスタマーサポート職」に580人、技術研究開発や社内の基幹システムなどを開発運用する「技術職」が400人、アシスタント業務を行う「スタッフ職」に400人という割り当てでした。

新卒の正社員を一括採用したことで、経営的なリスクは高まりましたが、志をともにする、ロイヤルティの高い人を採ることができました。仕事のパフォーマンスも非正規社員より高かったのです。結果的には、そのときの「3000人採用」の社員たちが、今現在、ソフトバンクグループの中軸として立派に育ってきています。

東京大学経済学部教授 高橋伸夫氏が解説

高橋伸夫氏

徐々に正社員に切り替えるのではなく、一気に新卒の正社員を採用するという手法はユニークだ。やるべき仕事が明確な急拡張期だから採れる手法だ。繁忙期に同じ手法を採れば失敗していただろう。中途採用と異なり、新卒では「同期」の意識ができる。事業を短期で売り抜けるのではなく、長期で成長させるためには、ロイヤルティの高い社員の存在が欠かせない。将来の事業承継を考えれば、むしろ堅実な施策といえる。

●正解【A】――ロイヤルティの低い非正規社員を抱えるほうがハイリスク

※本記事は2010年9月29日に開催された「ソフトバンクアカデミア」での孫正義氏の特別講演をもとに構成されております。設問文等で一部補筆・改変したものがあります。

(大塚常好、小澤啓司、原 英次郎、宮内 健、村上 敬=構成)
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