景気が悪いほどリピート率は高まる
ディズニーの場合はどうだったか。東京ディズニーリゾートのCSの高さは折り紙つきです。公益財団法人日本生産性本部が行っているJCSI(日本版顧客満足度指数)の2013年度の調査で、東京ディズニーランドは384企業中、1位でした。最新の2014年度第3回調査結果ではエンタテイメント部門で劇団四季に抜かれましたが、それでも堂々の2位です。
CSが高ければ、顧客に「また行きたい」という気持ちが生まれて次の来園につながります。その結果が、95%以上という驚異のリピート率になってあらわれているわけです。
あくまでも私の見解ですが、ディズニーランドのリピート率は、景気が悪いときほど高くなる傾向があります。
一般的に景気が悪くなると、人は遠出を控えるようになり、観光業の売り上げは落ちていきます。ディズニーランドの場合も、景気悪化に伴って遠方から観光バスツアーでやってくる顧客は減りました。ところがその一方で、関東近県で3500万人いるといわれる既存ユーザーは、景気が悪い時期ほどリピートしてくれました。近場のユーザーは「沖縄やハワイに行く余裕はないから、日帰りか一泊でディズニーランドにいこう」と考えて、ディズニーランドにやってくるのです。いわゆる「安・近・短」です。
もちろん関東近辺には、ディズニーの他にもさまざまな娯楽施設があります。その中でディズニーを選んでリピートしたのは、やはりCSが高いからでしょう。近場のユーザーがリピートしてくれたおかげで、ディズニーランドは景気低迷期においても、その影響を最小限に抑えることに成功しました。成熟市場では既存顧客をどれだけつかんでいるかが重要ですが、まさにディズニーは既存顧客に支えられて成長を続けているわけです。