この9月下旬、課長たちとの対話を始めた。全社で約300人。1回に30人ずつ集め、海外出張がなければ毎週、本社の会議室で開く。最も若い課長は入社16年目、40代は目前だ。陪席させるのは、人事部の準備役ら3人だけ。役員たちは置かず、自由闊達な雰囲気とする。
社長1年目は、もう少し若い面々と懇談した。みんな、礼儀正しいが、その年代は積極的に意見を言わないし、黙っていられない人たちは「合コンの乗り」になってしまう。まだ、機が熟していないのだろう。やはり、中核となる課長世代の一人ひとりのバージョンアップが、先だ。
言いたいことは、シンプルだ。「我々は、まだまだチャレンジャーとして、成長しなければいけない。もっと成長しよう」ということに尽きる。成長するために、何をやらなければいけないか。新規の投資もあるが、バランスシートの内容をいい形に保持することは崩せない。その制約のなかで、どうやるか、工夫しろ、と言う。
もう一つ、いま持っている資産や取引を、どうすればよりよくできるかを、一人ひとりが考えろ、と言う。「決して、漫然と仕事をするな」と戒め、気持ちから変えてもらう。対話と並行して、どこかの部門が工夫して新しい地平を拓いた事例を、全社に紹介し、「きみらも、やってみろ」とけしかけるメールも送っている。「依様畫葫蘆」に陥っている部署は、なくすつもりだ。
(聞き手=街風隆雄 撮影=門間新弥)