ヒトを通じたブランドの再構築

経営理念が意味しているのは、突き詰めれば「自社は何のために存在しているのか、社会にどんな価値を提供しているのか」ということだ。写真関連で世界的なブランドを有していたコニカミノルタにとって、その事業なしに自分たちの存在意義を、あるいは顧客への提供価値を語れるようになることは、ブランドの再構築という文脈でも必要なことであった。その問題意識は、2006年度の株主通信の中でも「新たなブランド構築の時を迎えて」という見出しで、次のように述べられている。

「コニカミノルタは、長らく写真産業を世界規模で展開し、カメラ・フィルム製品を通じて高い技術が信頼され、世界的な知名度を築いてきました。今なお、世界の多くのお客様からカメラやフィルムの会社というイメージで理解されているのも事実です。しかしながら、そのカメラ・フィルム製品の事業を終了したことで、今後は「カメラ・フィルムのコニカミノルタ」ではない、新たなコニカミノルタのブランドイメージを築かなくてはなりません。事業領域は変わっても、「イメージングの分野において先進的な技術を追求し、常にお客さまから信頼され、満足していただける企業として、また多くのお客さまに感動創造を提供し続ける企業」を目指すことに変わりはありません。コニカミノルタのブランドイメージの向上は、製品・サービスのみならずすべての企業活動を通じて、世界のお客様に対してお約束した価値が正しく提供でき、満足と信頼が積み上がっていくことでこそ、広がり高まっていくものだと認識しています」

これからは商品ではなく企業として提供できる価値を伝える必要性があること、そして顧客接点である従業員の行動でその価値を具現化していきたいとの問題意識から、導入されたのが「Giving Shape to Ideas(想いをカタチに、の意)」というコミュニケーション・メッセージだ。世界に向けて”コニカミノルタらしさ”を分かりやすく伝えることができ、かつ、従業員の行動の基準となるようなメッセージという位置づけだ。