ノーベル物理学賞・中村修二氏も激怒

「反対というより、猛反対。サラリーマンがかわいそうじゃないですか。(青色LEDをめぐる)私の裁判を通じて、(企業の研究者や技術者への待遇が)良くなってきたのに、それをまた、大企業の言うことをきいて会社の帰属にするのはとんでもないことです」(『朝日新聞』2014年10月18日朝刊)

こう語るのは、青色発光ダイオード(LED)の開発でノーベル物理学賞の受賞が決まった中村修二・米カリフォルニア大サンタバーバラ校教授である。

中村氏が憤るのも無理はない。

政府は社員が仕事で発明した特許を「社員のもの」から「会社のもの」にする特許法の改正案をこの臨時国会に提出する方針を固めたからだ。その背景には安倍政権と親密な関係にある経済界の強い要望がある。

日本の特許法(35条)では、発明者が特許を受ける権利はあるが、研究設備や開発資金を会社が負担する社員の発明は会社側に特許の使用権を与えている。ただし、会社は特許を社員から譲り受ける代わりに「相当の対価」を支払わなければならない、とされている。

だが、この法律は一般的にあまり知られておらず、たとえ知っていても勤務先の会社を訴える社員は少なかった。ところが、2001年中村氏が青色LEDの対価を求めて勤務先だった日亜化学工業を提訴。一審の東京地裁が200億円の支払いを命じたことで大きな話題となった(その後8億4000万円で和解)。

当時は社員研究者に勇気と夢を与える「会社と戦うサラリーマン出身の研究者」として世間の支持を集めた。その後も日立製作所の光ピックアップに関する特許訴訟や味の素の人工甘味料に関する特許訴訟など、従業員が会社に対価を求める訴訟が相次いだ。