責任の重さに見合った待遇改善を
実は、この1.8倍という水準は、韓国とはほぼ同じですが、他の国々と比べると、かなり低い値であることが読み取れます。イギリス、フランス、ドイツといったヨーロッパ各国で、2.3~2.5倍。アメリカで、4.0倍。中国3.0倍、インドネシア3.9倍、インドは何と5.2倍となっています。
この値は新興国ほど高くなる傾向にありますが、先進国であるアメリカで4倍、欧州諸国でも2倍強であることを考えると、日本や韓国の低さが目立ちます。
事実、国内を見渡せば「残業をたくさんする係長の方が、残業代のつかない課長よりも給与が高い」といった会社はいくらでも実在します。日本では、社内の給与格差より、規模や業種による企業間格差の方が顕著といえます。大企業のヒラ社員に年収が及ばない、中小企業の管理職はザラにいます。
もちろん、管理職に昇進するメリットは、報酬アップだけが全てではありません。社内外への信用やメンツもあるでしょう。部下を持つことによる、人間としての成長という側面も重要です。
また一方で、「ウチの管理職なんて、たいして仕事してないし、この程度の給与水準で十分。むしろ高すぎるくらいだ」と思う人もいるかもしれません。
しかし、若手社員の多くが向上心を失った会社に、将来性は期待できません。課長や店長をあこがれのポジションにするためにも、一定の魅力を感じられる管理職の待遇は必要なのです。
管理職層については、責任の重さに見合った待遇改善を、強く主張したいと思います。