自然体の岩城さんに比べ、相当の覚悟を持って社外での活動に取り組んできたのが東京電力の半谷栄寿さん(執行役員、新事業推進本部・副本部長)だ。

<strong>オフィス町内会事務局代表 半谷栄寿</strong>●1953年生まれ。78年東京電力入社。2008年より同社執行役員。91年より環境NPOオフィス町内会を設立し、以来事務局長を務める。
オフィス町内会事務局代表 半谷栄寿●1953年生まれ。78年東京電力入社。2008年より同社執行役員。91年より環境NPOオフィス町内会を設立し、以来事務局長を務める。

91年に東電を母体とする環境NPO「オフィス町内会」を設立。1000社以上とネットワークを組んで、都心のオフィスから出る古紙を共同回収する仕組みを構築、「分別、回収、再生紙利用」のサイクルを社会に定着させた。

活動に際し、半谷さんは次の3点を自分に課したという。目の前にある会社の本来業務に全力投球し、先輩と同等かそれ以上に仕事をこなすこと。会社にコスト的な負担をかけないよう、独立採算を維持すること。そして、東電の社会的な評価につながる活動にすることである。

「会社の信用力を使わせてもらう以上、それが私のバランス感覚、会社との折り合いのつけ方だった」と振り返る。

94年、リサイクル推進功労者表彰・内閣総理大臣賞を受賞するなど、この活動に対する外部からの評価は高い。会員企業が負担する回収コストはゴミとして処理する費用の約3分の1。事務局は発足以来の黒字経営と、ビジネスモデルとしても優れている。それでも、「会社に迷惑をかけているんじゃないかと思う時期が長かった」という。

CSRという概念もまだ広がっていない頃。「自分では異端児だと感じていたし、人事にも影響したと思いますよ。活動に興味を持ってくれる後輩がいても、巻き込まないようにしていましたね」。

本業では、99年から新規事業の担当に。データセンター事業などを担当する14社の連結売り上げは590億円、営業利益は50億円にのぼる(08年度)。