「ビジネスマンの社会貢献」というと、CSR活動を連想する人もいるだろう。なかでもNECはCSR活動に熱心な企業だ。2008年、地域貢献活動に参加した社員は全世界で17万人にものぼる。
ところが、同社のCSR推進本部CSR推進室の佐久間玲子さんは、正直に告白する。「ボランティアって、暇だからやるものかと、漠然と思っていたんです」。大企業の社員にとって、社会貢献とはそれほど縁遠いものらしい。
佐久間さんの場合、1年前の異動で同社の社会貢献の情報発信を行うウェブサイトの企画・制作担当になったことが、認識を改めるきっかけになった。
2009年2月からは、自ら手をあげて、雑誌販売を通じてホームレスの自立を支援する「ビッグイシュー」のコミュニケーションサポーター役に。NECがホームレス販売員向けに開いているパソコン講座の受講生が、雑誌のメール販売を行う際、販売者と購入者の間に入ってサポートを行うボランティアである。
とはいえ最初は手探り状態。メールはおろか、ビジネスに不慣れな販売員の心情に思いが至らず、落ち込ませてしまったこともあるという。そんな失敗を経て、徐々にやりがいも芽生え始めた。「ホームレスといっても、実際にお会いすると本当にマジメでやさしい方ばかり。私のほうが、気づきをもらっています」。