その国の文化を尊重すべき

このように、取材した人のほとんどから、外資に適応するには「コミュニケーション力が大事」という意見が寄せられた。外資には流暢な英語を駆使して、切った張ったの実力主義というイメージがあるが、活躍している人は必ずしも語学の優秀さや、仕事の実力だけで生き残っているわけではない。

それよりもむしろ、外資という日本の「治外法権」に身を置いているという自分の「立ち位置」を十分に理解し、社内の権力構造や情報の伝達方法がどうなっているのかを見極め、各国のお国柄からくる上司の性格などを分析する冷静さのほうが大事だといえそうだ。

奇しくも、前出の中国系で働く佐藤氏がこんなことを言っていたことが印象に残った。

「外資はどこも本国から指令を受けて日本でビジネスをしているのですから、それぞれに異なるクセや特徴があるのは確かです。ですから、その企業で働く私たち日本人は、その国のカルチャーを尊重すべきだと思います。でも、そこで生きていく処世術みたいなものは、結局、誰も教えてくれない。自分で探すしかないんですね。それを見つけられた人が、外資で活躍できるのではないかと思います」

まさにこの言葉こそ、外資に向く人、向かない人を言い表しているのではないだろうか。

(PIXTA=写真)
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