「結局、中国系の外資で日本人が生き残るには、周囲とのコミュニケーションがいちばん大事だと思います。『長く続かないだろうな』と思っていた若手がいたのですが、意外にも続いた。彼はさほど優秀ではないのですが、食事をすることが大好きでみんなに好かれるタイプだった。ベタだけど、自分から親しく話しかけるタイプこそ、『関係』(中国語でいうコネや人間関係)を重視する中国系企業に向いているな、と実感しました」

むろん中国語は「できたほうがいいがマストではない」と佐藤氏。むしろ日本語でもいいから積極的にコミュニケーションを取ることで可愛がられ、企業体質や仕組みを呑み込み、その中でどう立ちまわればよいのかを把握するほうが賢明ということなのだ。

韓国系企業でも“ノミニケーション”は重視される。「韓国のお国柄や文化がビジネスのやり方にも大きな影響を与えている」(ロバート・ウォルターズ・ジャパン、前田智子氏)と言うように、韓国人的行動を理解することが、韓国系に溶け込む早道といえそうで、いわゆる「韓国好きな人」がうまくいくケースが多い。

新興のネット企業などを除き、日本に進出している企業は大手の財閥系が多いだけに、どうしても「国家を背負って」という体質は否めない。飲むことだけが大事なのではないが、「心意気や忠誠心が大事」(韓国企業経験者)だそうで、その付き合いは限りなく「体育会系」に近く、親戚づき合いのような雰囲気もある。同経験者は「中国系は米国系に近いドライな面もありますが、韓国系はもっとウエット。人によって合う、合わないがハッキリ分かれるでしょうね」と語る。

「ノミニケーションが大事」という点では、意外にもドイツ系企業で働く田中秀樹氏(32歳/仮名)も同意する。田中氏が働く企業は日本での歴史もあり、ドイツ色はかなり薄い。新卒で入社した田中氏も「日頃うちの会社がドイツ系だということを意識することはほとんどないですね。ドイツ人の割合も数%です。職種でこの企業を選んだ人のほうが多いと思いますよ」と言うが、田中氏の上司はドイツ人。

会話は英語だが、「アメリカ人やイギリス人と違ってゆっくりしゃべってくれる。その方は日本好きで、よく一緒に日本の居酒屋に行きます。ドイツ人はある意味で日本人よりも日本的。論理的で数字目標など金銭面ではシビアですが、自分の仕事の成果さえ挙げていれば、2週間の休暇も取りやすいし、ダラダラと働かない。外資の中では比較的働きやすい職場なのかもしれません」と話す。