いつリストラになるかわからないこの時代、転職は他人事ではない。そのいざというときに、あなたには外資企業という選択肢はあるか。外資といっても、その特徴は国によってもさまざまなのだ。実際に外資系企業で働く人たちに、実態を聞いてみた。
意外に大事なノミニケーション
2年半前に中国系企業に転職した佐藤健一氏(38歳/仮名)は「中国系企業で生きるコツ」をこの1年間でようやく身につけた。
佐藤氏は中国や米国への留学経験はあるが、前職は日本のメーカーで、繊細な日本人タイプ。この2年半は戦いの連続だったという。
「お金に対して非常にシビアな会社で、グロスマージン36%という投資家の目標があるので、それを死守しなければならず、最初の1年は無我夢中でした。この数字を上回れば出社しなくてもいいぐらい自由だけれど、合理的な理由がなく達成できなかったら3カ月でクビですから」
当初は土日でも上司から数字のことで電話がかかってきてノイローゼぎみになったが、慣れてくるに従ってあることを悟った。それは「中国系企業は中国人のためにある」ということだった。日本支社であっても主要な人事は中国人で占められており、売り上げ目標など一連の決定プロセスも中国人だけで行われていることがわかった。
「私は中国語ができるといっても、日本人はしょせん“少数民族”でしかない。それと、部署によって上司は中国にいたりシンガポールにいたりとバラバラで、同僚と話をする機会も少ない。そうしたことがわかってから、周囲を誘って飲みにいくようにしました」
人事や総務、財務などの中国人に声をかけて週1ペースで飲むうちに社内のさまざまな情報が耳に入るようになった。おかげで社内の仕組みや情報の伝達過程がよくわかるようになり、毎月行われる会議で自分が抱えているプロジェクトの損益について上司に説明する際も、以前とは見違えるようにスムーズにいくようになったという。