EVマイレージマラソンの楽しさ

上州と越後を分ける三国峠は標高1084m。最初の充電を行った高崎との標高差はおよそ1000mである。ワインディング走行を楽しみながらのドライブはただでさえバッテリー電力を激しく消費する。さらに高度を1000m稼ぐのにもエネルギーが必要とあって、69kmを走って三国トンネルに到着した時には平均電力消費率5.2km/kWh、残り航続距離はわずか29kmとなっていた。

その登り区間を走行中、カーナビが「目的地に到着できない可能性があります」とインフォメーションを出してきた。トンネルの先は長い下り坂で、モーターに発電させてバッテリー電力を回復させられるという見通しがあったため気にする必要はなかったが、平地であれば目的地より手前の充電スポットを探すことになる。

カーナビの画面上にある「オペレーター」ボタンを押せば、センターに自動的にダイヤルされ、オペレーターとハンズフリー会話ができる。目的地より手前に充電スポットがあるかどうかを尋ね、適当なスポットがある場合にはオペレーターが遠隔操作でカーナビの経由地設定などをしてくれる。もちろんカーナビ上に充電スポットを表示させて自分で設定することも可能だ。

インパネ内の残り後続距離の数字は電力消費のペースを加味した数字なので、スロットルをほとんど踏むことなく、モーターによる発電で若干ながら電力量も回復させられる下り坂ではどんどん数字が伸びる。越後湯沢、石打を通過し、標高差900m強を下って24時間急速充電器が使える新潟・六日町の日産ディーラーに到着したときには平均電力消費率は7.5km/kWhに伸び、バッテリー残量15%、残り航続距離30kmという状態であった。高崎から117.2kmを走る間に71%の電力を使った計算になる。エネルギー効率は悪化したが、走りを楽しんだわりには結構距離を稼げるものだと思った次第であった。

レポート後半では、六日町から小出、六十里越峠を越え、およそ140kmにわたって急速充電器がない新潟・只見の山間をはじめ、EVにとって相当にタフな条件のドライブの状況をお伝えする。

【関連記事】
ケンカしながらイノベーションを起こせ! -日産自動車COO 志賀俊之氏
【日産自動車】社運をかけた「電気自動車リーフ」スピード開発の仕かけ
時代がEVに動いても、我らは原点に帰る -マツダ会長兼社長兼CEO 山内 孝氏
トヨタがBMWとの提携拡大、燃料電池車で先行狙う
火花散る軽自動車・燃費ウォーズ【1】