EVは「長距離ドライブは苦手科目」は本当か!?

クルマを化石燃料以外のエネルギーで走らせる、いわゆる“脱石油”技術の本命のひとつとして鳴り物入りで登場したバッテリーEV(電気自動車)。2009年4月に三菱自動車が世界初の量産EV『i-MiEV(アイミーブ)』のリース販売を開始してからすでに5年が経過した今日、EVへの見方はポジティブ、ネガティブまちまちだ。

日産リーフで関東~上越エリア1014kmの長距離ドライブをしてみた

ポジティブ評価としては走行コストが安い、静粛性が高い、クリーン。ネガティブ評価としては価格が高い、航続距離が短い、充電インフラが不十分、バッテリーの耐久性に不安――といったところだろう。どちらの側も見当外れではなく、ちゃんと故ある見方なのだが、今のところポジティブな部分を積極評価して購入に踏み切るカスタマーよりネガティブな部分を嫌って手を出さないカスタマーのほうが圧倒多数で、販売実績はメーカーの当初の皮算用に遠く及んでいない。

現在、EV販売は行政機関や法人などフリートカスタマー向けがメインで、プライベートで購入するのは通勤で毎日決まったルートを走る、ほぼ街乗り主体にマイカーを使うといったカスタマーにほぼ限定されている。街乗りでは使えても、遠出に使えないのであれば、車を個人所有する楽しみの半分は失われてしまうことを考えれば致し方がない。

EVは本当に長距離ドライブには使えないのか。数値的には、比較的足の長い日産リーフでもJC08モード走行時で220kmと、長距離ドライブに不向きなように見える。最近は出先で走行用の電力を補給できる急速充電器の数も増えつつある。今日、実際にロングドライブしてみたらどうなのか――使用感やEVの車としての特性などをチェックしつつ、日産リーフで関東~上越エリアを1014km走ってみた。なお、筆者のEV運転経験は2時間程度の試乗を数回行ったのみで、本格的なロングドライブは初めてである。

横浜にある日産グローバル本社で、リーフを借り出した。グレードは最上の「G」。17インチホイール、LEDヘッドランプ、空気清浄機能つきエアコンなど充実した装備を持つトップグレードで、車両価格は8%消費税込み367万9560円。EV補助金の支給対象で、値引きなしで購入した場合の補助金額は53万円。差し引き314万9560円で手に入ることになる。バッテリー総容量は24kWhで、前述のようにJC08モード走行時の公称航続距離は220km。