EVの意外な得意ステージ、ワインディングロード
チャデモ急速充電器はリーフのバッテリーに30分で容量の80%分チャージすることができることになっているが、自分で「80%で停止する」よう設定しないかぎり、ディーラーの設定している充電時間のリミットまで充電し続けるようになっているようだった。急速充電器で80%以上充電するのは、バッテリー保護の観点ではあまり良いことではないのだが、後に他のディーラーできいたところ、80%オーバーの充電は普通に行われいているらしい。バッテリー残量86%、残り航続距離159kmという状態でドライブを再開した。
高崎から先は国道17号線で北上。上州と越後を分ける三国山脈を越えるワインディング区間を走行した。次の充電予定地を比較的近距離にある新潟県六日町とし、電力消費率を気にせずダイナミックに走ってみた。
真夜中の三国峠は登り区間で高速道路を避けた大型トラックがしばしば低速走行しているのだが、この日は峠の分水嶺までは前方に大型トラックなし。節電モードであるエコノミーモードからノーマルモードに戻し、ワインディング区間に入った。
リーフの走行用モーターは最高出力80kW。馬力に直すと109馬力だ。数値としては1.5リットル級大衆車程度のものでしかない。カーナビにパワーメーターを表示させて走ってみたところ、フルスロットルにするとメーターは直ちに80kWのゲージいっぱいまで上がる。エンジン車の場合、80kWを出せるのはエンジン回転数の上限近くのみ。その点、どの速度域からでも瞬時に100%出力に持っていけるEVのパワー感は格別のものがあった。イメージ的には2リットル級スポーツエンジンないし2.5リットル級エンジン搭載車くらいの加速力である。
ワインディング区間でパワー感にも増して印象的だったのは、ハンドリングの良さだ。リーフのサスペンションはとくにスポーティなものではなく、むしろ腰のない、変に柔らかいセッティングである。にもかかわらず、かなりきついコーナーでもロールはごく小さく、安定性は抜群であった。
これは重いバッテリーを車体の下部に搭載するというEVの構造に由来する重心の低さが寄与しているものと推測されたが、単なる感覚的なものだけでなく、たとえばタイトなS字コーナーを通過するようなシーンでも助手席に置いてあるものが滅多なことで跳ね回ったりしないなど、物理面からもそのメリットをうかがい知ることができた。かりに、リーフにフォルクスワーゲン『ゴルフGTI』のようなしなやかでスポーティなサスペンションをセットアップし、精悍なボディデザインを与えたら、相当に面白いEVスポーツになるのではないかと思われた。