【清水】僕は中高時代、地学部に所属していてアンモナイトの研究にはまっていたんです。東京近郊でも、けっこう化石の採れるところがあって、研究の真似事をしていました。ホースでアンモナイトを作って、それを水槽に浮かべて、どういう姿勢で生息しているんだろう、みたいな。
――すいません。その面白さが今一つわからない(笑)
【清水】そうですよね。すいません。で、まあ研究職の道もいいなあと思っていたんですが、顧問の先生に相談したら「儲からないぞ」って言われて……。
――医者は儲かるからと?
【清水】いえいえ(笑)。丸野さんと似てるんですが、やはり父が医師だったことが大きい。父は産業医だから職場を見学したことはないけれど、お正月に親戚が集まると、叔父や叔母が「腰が痛いんだけど」とか「不整脈が出るんだけど」なんて父に相談を始めるわけ。そういう質問に丁寧に答えていく父の姿、そして父のアドバイスを嬉しそうに聞いている親戚の姿を見て、ああこういう仕事っていいなと。
――皆さんは成績だけで進路を決めたわけではない?
【加藤】留学するまでは、国語があまり得意じゃないから漠然と理系に行こうかなと思っていたのですが、社会に貢献できて、やりがいがあって、しかも機械相手ではなく人とかかわり合える仕事って何だろうと考えたときに、医師という職業が浮上してきました。
【丸野】私の場合、母にも言われたんですが、女性が一生涯仕事を続けていくには国家資格を持った方がいいという考えもありました。
――灘や開成のような超一流と呼ばれる私立高校の生徒は、ほとんどが国立の医学部を目指すようですが、「成績がいいから医者」という考え方をどう思いますか?
【清水】そういう傾向は、はっきり言ってよくないと思います。医師の適性があるのにたった1つの教科ができないだけで医学部を落ちてしまう人がいる一方で、その逆もまた然しかり。適性がないのに試験の点数がいいだけで医学部に受かる人がいる。
【丸野】その逆は、ものすごく然りだよね(笑)
【清水】すごくそう思う(笑)。学生の僕が言うことではありませんが、あまりいいことではないと思います。医師になるには、受験勉強をこなす能力もある程度は必要だと思うけど、やはり丸野さんのように芸術的な才能があるとか、加藤くんみたいに人とかかわりたいという気持ちがあるといったことが重要だと思います。