――加藤さんは?

【加藤】実を言うと、僕は小さい頃から数学が大好きな子でして、小学生のときも中学生や高校生が読むような数学関係の本を市立図書館で借りてきてはよく読んでいました。塾には通っていませんでしたが、なぜか数学が異様に好きだったのです。たぶん、変な子だったと思います。

――さすが天才(笑)。

【加藤】中学時代は親から勉強しろと口うるさく言われて、参考書の選び方まで口出しされたりしたのでよく喧嘩をしていました。反抗期というか、自分でも勉強しなきゃとわかってはいたんですけど……。でも、高校に入ったら親がぴたりと口出しをやめたんです。そこから自分で勉強するようになりました。ずっとスパルタではなく、中学で勉強の習慣だけつけさせて、高校に入ったら適度に自由を与えるという母親のやり方が上手だったのかもしれません。

医学部を目指した理由は何ですか?

――皆さん、進学先を医学部にしたのは、やはり偏差値が高かったからなのでしょうか?

【加藤】僕は高校時代に1年間、イギリスに留学したんです。留学生活はホストファミリーとの関係がうまくいかず苦い思い出なのですが(笑)、留学中に日本でいうデイケアセンターのような施設で1年間ボランティアをやったのです。お年寄りを車で迎えに行き、施設で食事をしながらおしゃべりをするだけでしたが、たまに医療相談なども行われていて、僕の場合は、そのボランティアを経験したことが大きかったですね。誰かの役に立てる職業って素敵だなあと思いました。

【丸野】私の場合は父も祖父も医師なので、職業として一番身近だったということが大きいかな。一度、足の指を骨折して父が勤務している病院で治療してもらったことがあるんだけど、父もさることながら、同僚のお医者さんの働く姿がとてもかっこよく見えた。考えてみれば、高校生が「お客」という立場以外で大人が働く姿に接する機会って、あんまりないよね。そういう意味でも印象が強かったのだと思うけど、憧れを持ちましたね。