単純記憶だけではない。アイデアが湧いてこないときには、「一度あきらめて寝てしまったほうがいい」というのが脳科学者たちの一致した意見。

「解くのにひらめきが必要な数列の問題の比較実験で、被験者を8時間起きている、7時間起きていて1時間寝る、1時間起きていて7時間睡眠をとる、の3グループに分けて問題を与え、8時間後に回答を求めたところ、一番成績がよかったのが7時間眠る組だったのです」(篠原菊紀教授)

寝ている間に脳が問題を解いてくれる。グリム童話の「小人と靴屋」みたいにうれしい生産性向上ではないか。澤口俊之教授も「寝る前に明日やることをメモする習慣をつけておけば、無意識に情報が整理され、斬新な企画や問題の解決方法がひらめくことが大いに期待できます」とアドバイスする。

調査によると40代の4割は6時間しか寝ていない。睡眠不足により脳の持っているポテンシャルを上手に引き出す機会を失っているとしたら、もったいない話だ。

内田 直 
1956年生まれ。滋賀医科大学卒業。早稲田大学スポーツ科学学術院教授、日本スポーツ精神医学会理事長。日暮里あべクリニック担当医。睡眠医療認定医師。


篠原菊紀 
1960年生まれ。東京大学卒業。諏訪東京理科大学共通教育センター教授。平易な解説でテレビ番組などでも活躍。著書に『勉強にハマる脳の作り方』ほか。


澤口俊之 
1959年生まれ。北海道大学卒業。京都大学霊長類研究所、北海道大学教授を経て、2006年人間性脳科学研究所所長。2011年から武蔵野学院大学教授兼任。