目標額に未達なら支援金は全額返還

日本国内でもキックスターターのような購入型クラウドのプラットフォームが続々と誕生していて、ある関係者は「いまでは100以上を数えるまでになった」という。その先駆けが11年3月にスタートしたオーマの「READYFOR?(レディーフォー)」である。立ち上げたのは米良はるかさんで、当時はまだ慶應義塾大学大学院の学生で23歳だったそうだ。

「米国に留学していたときに、キックスターターの急成長ぶりが全米で注目されていました。同じようにインターネットを介して人が人を応援しやすくなる仕組みを日本でもできないかと考え、4カ月の期間で構築したのが現在のプラットフォームです。スタート直後に東日本大震災があって、復興関係のプロジェクトの資金調達の打診が入り、『サポートできるのなら』と引き受けたことが、注目されるきっかけになりました」

それだからか、レディーフォーで資金調達するプロジェクトは、公共性や社会貢献的な意義の高い内容のものが多い。その代表的な例として、名古屋市の東山動物園のコアラの餌代を集めるプロジェクトがある。当初200万円を目標金額に募集を始めたところ、なんと1日でそのラインを突破し、最終的に20日間で475万9000円を集めてしまった。

キックスターターやレディーフォーをはじめとする購入型クラウドの特徴の一つが「All or Nothing」のシステムの存在だ。コアラの餌代プロジェクトのようにあらかじめ決めておいた目標金額を募集期間内に集められなければ、支援金は全額支援者に返金される。「不十分な調達資金ではプロジェクトの遂行が難しくなって、支援者へのリターンも不可能になるからです」と米良さんは説明する。

逆に、目標金額をクリアできれば期限までに集まったすべてのお金を調達できる。日本の購入型クラウドの場合、募集期間は最長で3カ月というところがほとんどだ。これは購入額を決済するのにクレジットカードを利用していることが多く、引き落としを猶予しておける期間が最大で3カ月であるから。