アベノミクスで市場が盛り上がるなか、資産を倍増させているサラリーマン投資家がいる。高い運用益を得た彼らは、どんな金融商品に投資しているのか。手の内をすべて見せてもらった。
円安+新興国株高で評価額が50%アップ
12年11月14日の党首討論で、野田佳彦前首相が衆議院解散を表明して以降、市場では円安と株高が進行。安倍晋三政権が誕生し、アベノミクスの大胆な金融緩和政策によって、その流れが加速し、1ドル=80円台で推移していたドル円レートは100円超に、8000円台半ばから9000円台前半で推移していた日経平均株価は、13年5月には5年4カ月ぶりに1万5000円をつけた。わずか半年でドル円レートは25%下落し、日経平均株価は80%も上昇した計算になる。海外でも、12年9月13日にアメリカでQE3(量的金融緩和政策第3弾)が実施されたことによって、株高が進行。アメリカや東南アジアなどでの株式市場で、過去最高値更新が続いた。
この円安、株高で大きな利益を手にした個人投資家も少なくない。
「1年前には30万円以上の含み損を抱えていた」という横山健一さん(仮名・45歳・サービス業)だが、いまや203万円の含み益が出ている(図)。
「今後の経済成長を重視しているので、投資先は新興国の株式が中心。まだまだ市場規模が小さく、流動性も低い国が多いので、どうしても値動きの幅が大きくなりやすい。そのぶん、株式市場に資金が流入したときには、大きく上振れする。おまけに為替変動の影響も受けやすい」(横山さん)
日本株の比率が低いのでアベノミクスの恩恵を受けたのは、主に為替の部分だ。それでも1ドル=80円台から100円台まで円安が進んだことで、「日に日に資産が増えていくのがうれしくて、1年前は月1回チェックするのもイヤだった口座の残高を、毎日チェックした」ほどだという。